ホノルル点描
第 40 回 : 現存する米国最古の公共建造物「カメハメハ五世郵便局」

画: 西川幸夫

 

 
ホノルルのダウンタウンの一角、マーチャント通りとベセル通りの角の灰色の二階建の建物は、ハワイ初のコンクリート製建造物で、カメハメハ五世が建設を指示したハワイ初の郵便局であるため、通称「カメハメハ五世郵便局」と呼ばれている。
 
カメハメハ五世は、建築設計者に、イギリス出身の熟練した煉瓦職人のJ・Gオズボーン氏を任命し、建設総工費に一万三千ドルを投じた。オズボーン氏は、故郷のイギリス・ヨークシャー地方の「ルネッサンス・リバイバル様式」の建物を模してデザインした。
 
建造の際に、鉄筋がコンクリート補強の為に使われたが、この建築方法は、当時ヨーロッパでは試験的に行われていたが、アメリカではまだ用いられていない方法だった。こ の建物の建設成功を機に、後にホノルルではコンクリートを使った建物建築が盛んにな った。
 
一八七一年三月、この建物の一角に郵便局が開局し、建物の他の部分は事務所として使われていたが、一八九四年に建物全体が郵便局となった。一時期、郵便局の窓口は、「女性」、「外人」、「ハワイアン」、「日本人」、「ポルトガル人」、「切手」に分かれており、建物の角の部分は、馬を繋ぐ場所に使われていた。郵便局の業務拡張により、一九二二年に近隣の連邦政府ビルに移り、この建物には分局のみが残った。
 
以後様々な政府関係の事務所として使われたが、現在は、「クム・カフア・シアター」という劇場になっている。「カメハメハ五世郵便局」は、現存する米国最古の公共建造物であり、一九七二年、米国の歴史的建造物として指定され、一九八七年には、米国土木工学協会の歴史的土木工学名所に指定された。
 
文:榊原 百合惠
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