ホノルル点描
第 37 回 : 高知城をモデルにした「マキキ聖城キリスト教会」

画: 西川幸夫

 

 
ホノルル市内のほぼ中央、ペンサコーラ街と南キング街角近くに天守閣もある堂々 たる日本のお城が見える。
 
「実はあれはキリスト教会の建物」ですよと、初めて教えられた人は誰もが驚く。 ハワイに日本のお城があることと、それが教会の建物と知って、これまでの常識をくつがえされるからだろう。 このお城は一九三二年に、高知城をモデルにして建てられた。
 
どうして教会の建物がお城の形をしているのか、黒田 朔(さく)牧師は次のように説明している。
 
「約百年前の一九〇四年にマキキ教会を建てた奥村多喜衛牧師は、日本人の移民社会に大きな貢献をした方です。 初期の移民は、低賃金と過酷な労働のためお酒や賭博で生活は荒廃を極めていたようです。 奥村牧師はよりよい労働条件を獲得するためには小銭をためて日本へ帰る三年契約の出稼ぎ根性を捨て、地元に役立つ働き手となることだと二世教育の力を注ぎ、日本人幼稚園、日本語学校を始め、高等教育を受けられるようにと寄宿舎『奥村ホーム』を開きました。
 
さらに、一九〇〇年、ホノルルに流行したペスト対策として日本人慈善病院開設にも貢献し、今のクアキニ病院が誕生したのです。 高知城をモデルにした教会堂建設は元土佐藩藩士であった奥村牧師が苦しい移民生活を送る人々に『神はわが城なり』 との聖書のメッセージを建物を通して伝え、また、お世話になっているホノルルの街に美観を添えたいとの願いの故でした。
 
奥村牧師は日米摩擦を回避するために米化運動を展開しますが、残念ながら、戦争 に突入します。 開戦直後に申し入れたエモンス司令官との面談により二世部隊一〇〇大隊誕生のきっかけが出来たのです」。
 
文:永井 雄治
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