ホノルル点描
第 36 回 : かつての砲台跡に設立された「アメリカ陸軍博物館」

画: 西川幸夫

 

 
ワイキキのフォート・デルッシー公園の一角にある「アメリカ陸軍博物館」は、第一次世界大戦からベトナム戦争までのハワイの
軍事の役割に敬意を表して一九七五年に創設されたものである。
 
この地の歴史は二十世紀初頭にさかのぼる。一九〇六年、真珠湾やホノルルを防 衛するためにホノルル沿岸に砲台を設け、
六台の十二インチの大砲、四台の六インチの大砲、十六台の十二インチの臼砲を設置する計画が出された。
 
一九〇九年に砲台の建設が始まったが、途中で計画が変更され、ランドルフ砲台 (現在この陸軍博物館がある場所)には、
二台の十四インチの大砲が設置されることになり、一九一一年に砲台が完成。 砲弾の直撃にも耐えられる分厚いコンク リー
トの要塞も設置された。
 
一九一四年、ランドルフ砲台から初めて砲弾が試射された。 陸軍はワイキキ住民に試射の予告をせずに発射させたため、近
所の家ではガラスにひびが入ったり、食器などがガタガタいったりしたという。このため、その後はあまり試射されることはなか
った。
 
一九五〇年六月二十八日、アメリカ陸軍により沿岸砲兵隊が公式に解散され、フォート・デルッシーに設置された大砲は解
体して鉄くずとなり、敷地はアメリカ 陸軍レクリエーション地区となった。
 
一九七〇年代に歴史家のワレン・セスラーが中心となり、砲台のあった場所に「アメリカ陸軍博物館」創設案が持ち上がり、
ワイキキの第一次世界大戦記念館から二つの大砲を譲り受け、以前の砲台に設置された。
 
現在館内には、ランドルフ砲台、第二次世界大戦、朝鮮戦争、ベトナム戦争など、これまでのハワイの軍事の歴史を物語る
様々な展示物が常設されている。 また、建物の前には本物のアメリカ軍の戦車と日本軍の戦車も設置されている。
 
文:榊原 百合惠
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