ホノルル点描
第 31 回 : コオラウ山脈麓のハワイの「平等院」

画: 西川幸夫

 

 
カネオヘのコオラウ山脈の麓にあるハワイの平等院は、明治元年にやってきた百四十九人の元年ものといわれている日系
移民から百周年を記念して、一九六八年六月七日に京都府宇治市にある平等院鳳凰堂を模して建立された。
 
京都・宇治の平等院は、九世紀末頃、光源氏のモデルともいわれる源融(みなもとのとおる)の別荘だったものが宇多天皇
に譲られ、天皇の孫の源重信を経て、関白藤原道長の別荘「宇治殿」となった。 道長没後、その息子の関白藤原頼通が、
一〇二七年に宇治 殿を寺に委譲し、これが平等院の元になった。 創建時の本堂は、大日如来を本尊としていたが、一〇
五三年には、西方極楽浄土を模したといわれる阿弥陀堂(現鳳凰堂)が建立された。
 
平等院には、鳳凰堂以外にもいくつかの堂塔が建立されたが、度重なる災害により崩壊 し、鳳凰堂のみが奇跡的に災害を
免れて残っている。 十七世紀以降、平等院は浄土宗と天台宗を兼ねた寺だったが、現在は特定の宗派に属さない仏教寺
院となり、国宝文化財として指定されているほか、世界遺産にも登録され、十円硬貨のデザインにもなっている。
 
ハワイの平等院も特定の宗教に属さない寺院として、「ヴァレー・オブ・ザ・テンプル ズ・メモリアル・パーク」内に建立された。
縮尺は、日本の平等院よりやや小さく、日本から取り寄せた瓦以外は、資材や大工は全て現地調達され、約二年間かけて
建造された。
 
本堂には、宇治平等院の本尊を模した木造阿弥陀如来座像があり、敷地内には、宇治平等院の梵鐘を模して大阪で鋳
造された鐘のある鐘楼や茶室がある。 広い日本庭園には孔雀が放し飼いにされ、池には鯉が泳いでいる。 コオラウ山脈を
背に建つ平等院は、ハワイで日本を感じられる静寂の場所となっている。
   
文:榊原 百合惠
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