ホノルル点描
第 29 回 : ハワイ最古の木造建築 --- 「ミッション・ハウス博物館」

画: 西川幸夫

 

 
ホノルル最古のイギリス国教会「カワイハオ教会」の隣にあるミッション・ハウスの歴史は、一八二〇年にさかのぼる。 ミッション
・ハウス(宣教師団の家)という名が示すように、この場所は、アメリカ東部から来た最初のプロテスタント宣教師が生活していた
場所である。
 
宣教師団は、建築資材をボストンから南米最南端のホーン岬経由で輸送し、医者や印刷師を含む宣教師一団の住宅や作
業所をこの地に建てた。 ニューイングランド地方特有の、雪落しがしやすい急勾配の三角屋根に、防寒を考慮した小さい窓の
建築で、ハワイには不釣り合いだったが、これがハワイ最初の木造住宅となった。
 
宣教師団は、隣のカワイハオ教会の設計デザインをし、ハワイの人たちと共に壁材に珊瑚礁を用いた教会を一九四二年に完成
した。 敷地内には、ハワイ初の印刷所もあり、ハワイ語や英語で聖書に関する小冊子や案内などが刷られた。 この地に建てら
れた住宅や作業所、倉庫を保存し、一般に公開することを目的として、一九二〇年にこの一角をミッション・ハウス博物館として
オープンした。
 
博物館には、宣教師たちが造ったり、寄贈された家具や調度品、道具や日用品な ど、約三千点が保管され、当時の生活が
偲べるように展示されている。 玄関から 一歩家の中に入ると、タイムマシンに乗って十九世紀のハワイの家に迷い込んだような
感じがし、居間、台所、書斎、寝室などを巡りながら、当時の生活を垣間見ることが出来る。 また、作業所の一室には、当時
使われていた印刷機の複製が置かれている。
 
館内の図書館には、十九世紀に書かれた手紙、日記、手記、古書など、約一万二 千点の蔵書があり、予約をすれば一般
の人でも見ることが出来る。 宣教師の妻た ちは、パッチワークの作り方を人々に教えていたが、それが後に、ハワイ独自のパッチ
ワーク手法、ハワイアンキルトを生み出すきっかけとなった。 ハワイアンキルト発祥の地にちなみ、ギャラリーでは、宣教師時代
から現代にいたるハワイ アンキルトや版画などの展覧会が随時開催されている。
 
また、売店では、キルト素材や書籍、絵葉書、ハワイ製品なども販売されている。ミッション・ハウス博物館は、火曜日から土曜
日の午前十時から午後四時まで開館。 水曜日の午前十一時と午後二時半、金曜日の午後二時半には日本語によるガイド
ツアーが行われていいる。
   
文:榊原 百合惠
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