ホノルル点描
第 9 回 : 世界でも稀な海水の「戦勝記念プール」

画: 西川幸夫

 

 
ダイアモンドヘッドを背後に望むワイキキの東端に、第一次大戦の戦勝記念プール (世界でも稀な海水の百メートルプール)
が建設されたのは、一九二七年のことで ある。 この年に開催された全米体育協会主催の国内競技大会をこけら落としとし
て以降、日本・アメリカ・ハワイなどの有名な選手を迎えた数々の世界的な水上競技大会の舞台となった。
 
戦前には、一九三六年のベルリンオリンピックで金メダルを獲得した前畑秀子らが、 戦後間もない一九四九年には、古橋・
橋爪らの日本水泳団がロスアンジェルスの日米対抗大会で偉勲を打ち立てた帰途ホノルルに立ち寄り、この戦勝記念プー
ルで画期的な世界新記録を樹立した。
 
一九五二年には、新東宝制作の映画『ハワイの夜』のロケーションに使用された。 『ハワイの夜』は、日本から水泳競技会の
ためにハワイを訪れた日本人青年と、日 系人女生徒の、戦争をはさんだ悲恋を描いた作品である。 戦勝記念プールでのロ
ケーション撮影は、数千人もの在住日本人、日系人が参加しての大規模なものだった。
 
老朽化によって一九八〇年に閉鎖されてからすでに四半世紀が過ぎたが、「プール そのものが記念物である」と主張する人
々と、莫大な予算をかけての維持修復を望まない人々の間で、未だに取り壊しか保存かの議論が行われている。
 
文: 権藤千恵
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