ホノルル点描 |
第 1 回 : スティーブンソンの愛した 「ハウツリーの木陰」 |
画: 西川幸夫 |
|
ワイキキ地区の東端、ニュー・オータニ・カイマナビーチ・ホテルのロビー海側に、軽食
レストラン「ハウツリー・ラナイ」がある。 名前のごとく、ここにハウの古木があるが、この木陰を、「宝島」や「ジギル博士とハイド氏」で知られるスコットランドの文豪 ロバート・スティーブンソンが、こよなく愛し、ここで原稿を執筆したと言われている。 |
スティーブンソンがハワイを初めて訪れたのは一八八九年。当時〈サンスーシー〉(仏語
で〈無憂〉の意)と呼ばれたこの臨 海別荘が大変気に入り、一八九三年の二度目の来布時 にはここに宿泊し、その来客名簿には「素晴らしい眺め、新鮮な 空気、透き通った海、極上の食事、心奪われる夕陽、その様な所をお望みでしたら、私はためらわずに、サンスーシーをお 薦めします」と書き残している。 |
サンスーシーとは、ここのビーチの名前で、その昔、ハワイの名家であるマキナニーファ
ミリー(デパートなどのオーナー)の 別荘があった。 今、レストランを囲っている白い柵 は、その頃からの名残りという。 一九五〇年代、この土地を地元のビジ ネスマン・重永茂夫氏が取得、日本の投資家と共同でカイマナ・ホテルを開業、その後増築し、一九七六年 からニューオー タニ・ホテルの経営となっている。 時は移り人の姿は変わっても、ここには同じ夕陽の美しさがある。 |
|
文: 永井雄治 |
<<- ホノルル点描 の目次に戻る |